13 pieces

 敷地周辺は、南北をJRと私鉄、東西に巨大遺跡公園や幹線道路があり、都市のインフラに切り取られた住宅地の一角で、小降りの住宅が綺麗に並んだ角地にある。町並みはあまり特徴がなく、どこにでもありそうな風景だ。利便性がいい場所柄もあり建て替えによる世代交代が進み、車庫がなかった2階建ての住宅地から車庫あり3階建ての住宅地に風景を変えようとしている。それはつまり、車庫をつくることで1階の前庭が無くなり、3階になることで建物のボリュームが増す。
 このような場所に、新たに車庫なし2階建てを計画する。敷地が四角だったり、角地で2面開いていたりと方向性を特定しにくい敷地の特性から、どの面に対しても同じ接し方で解いていくことにした。まず、敷地境界線からひと回り小さい線で囲いとり、9つの枡に分けた。9つに分けることで、4面に対して対等に建った。9つの枡の交差する点を開き、交差しない線を閉じた。すると、隣り合う枡は距離をとり、斜めの枡とは視線が抜け共鳴し合う、9つの枡と交差する4点エリアが生まれた。そこで、交差点のたれ壁の高さで、空間の質を変化させた。前庭を9つの枡の中に取り込み、緑のバッファーにレイヤーをかけることで内部に引き込んだ。天井を高くし建物全体としては、2.5階建て程度の高さとし、近隣の細やかな特徴を拾いながら開口の位置や大きさで形成しながら窓を散りばめることで、外観からの階数や方角に対するリテラシーを一掃した。